
(16日、サッカーJ1 横浜F・マリノス2―0ガンバ大阪)
変革には痛みが伴うものだ。
- マリノス遠野大弥は「常に100%」 自動車部品業務との両立が原点
守備の改善を図ると、得点力が下がる。横浜マはわかりやすいジレンマに陥っていた。
試合前の時点での2得点はリーグ最少。球を失うリスクを恐れるあまり、攻めに転じたときに人数をかけられない。2018年以降の全シーズンでJ1のトップ3に入る得点数を誇った攻撃力が影を潜めていた。
この日も押し込まれた中で、起爆剤となったのが川崎フロンターレから今季加入し、先発に定着しつつあるFW遠野大弥だ。
前半20分、敵陣中央でパスを受けると、ドリブルで持ち込み、ペナルティーエリアの外から迷いなく左足を振った。「自分の良さは推進力。結果で示せて良かった」。11日のアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)から2試合連続の先取点だ。
26歳はDFの背後を狙うプレーも光った。ホーランド監督が口酸っぱく伝えてきた「前への動きを増やそう」という言葉を体現。それがチームメートにも波及した。
後半30分、カウンターで遠野からのパスに飛び出したのはMF植中朝日。今季初の複数得点が生まれた。
内容には課題も残る。シュート数は相手の20本に対して7本。遠野は「もっと圧倒したいが、勝ちながら修正していければいい。伸びしろしかない」とうなずく。
準々決勝に進んだACLEと並行して狙う3年ぶりのリーグ制覇へ。苦しみながらも、まずは一つ目の白星をつかみ取った。
「成長の段階だ」
ホーランド監督(マ) 「攻撃でいくつかいい場面をつくることができた。まだスタートしたばかり。成長の段階だ」
ポヤトス監督(ガ) 「痛い敗戦になった。全ての局面で上回った感覚がある。相手はチャンスを生かしてきた」